「樹影」と「樹陰」の違い

 
 
「樹影(じゅえい)」と「樹陰(じゅいん)」は、それぞれ意味が違います
 
「樹影」は、樹木が作るかげ(黒い像)を指しますが
「樹陰」は、樹木のつくる日陰(光の当たらない場所)を指します
 
ですので、俳句で「樹影」というと、「かげ」の像や形を注目した表現になり
「樹陰」というと、樹にさえぎられて光が当たらない暗い部分に注目した表現となります
 
 
俳句を鑑賞するとき、俳句を作るときに覚えておきましょう
 
 
 
 
 
 
 
 

574 文語文法と口語文法の2つの表


文語文法と口語文法の2つの表です
文語で俳句を作っているときに、この俳句は口語だとどうなるのだろう、と感じて口語の活用を確認したくなることがあります
その逆もあると思います

わたしは暗記をしていないので、このときにインターネットで調べることになるのですが、これが意外と手間どります
ですので、文語と口語の2つの活用表を用意しました
同じように文語文法、口語文法の活用を確認したい方はご活用ください




「上る」「登る」「昇る」の違い

 
 
「上る」「登る」「昇る」は、それぞれ意味が違います
 

 

意味

例文

上る

上へ行く

さかのぼる

階段を上る

川を上る

登る

高い場所に上がる

山に登る

昇る

高くあがる

太陽が現れる

天に昇る

日が昇る

 
 
 
 
 
 

フルーツポンチ村上さんの俳句公演の言葉


フルーツポンチの村上健志さんの俳句のお話を聞きたかったので
11月19日(日)に小松市で開催されていた「奥の細道トークショー」に行ってきました

プレバトや著書「フルーツポンチ村上健志の俳句修行」などで、卓越した俳句の才能を見せていますが、トークショーでは、それに裏打ちされた作り方の視点や、俳句の深い読みを聞くことができました

話の内容にも著作権があるので、かってにここで全ては書けませんが
「俳句は意味が分かるように書いたらダメ」と言った一言は、印象に残りました
俳句を始めたばかりの人には、ぜひ心に留めておいてほしい言葉だと思います
この意味をまだ分からない人も、いつか分かる時がきます

俳句の本質をついていて、ただ、それゆえに俳句作りが難し部分でもあります


トークショーに行けなかった方も、著書「フルーツポンチ村上健志の俳句修行」には
示唆に富む言葉がちりばめられているので、必ず読まれると良いと思います

村上健志 (著)
春陽堂書店


わたしの参加している句会にも、いつか村上さんが参加していただければ光栄ですが..
そうなるように研鑽を積みます






良かった本「シリーズ自句自解II ベスト100仁平勝」




仁平勝 (著)
出版社 ふらんす堂

自句自解の本はいろいろありますが、通常は俳句の背景が解説されているだけですが
この本は俳句の作り方や、ひとつの俳句でその言葉の選んだ背景なども書かれていて、とても勉強になります

作品だけを読む
解説を読んで背景を思い浮かべながら作品を読む
あとがきの句作の方法論はどを読みながら作品を読む
というように色々な読みかたができて、1冊で3冊の本を読んでいる楽しさがありました

俳句をやられている人はわかると思いますが、散文で使うと誤用になりかねない上五の助詞の「の」
この効果についても言及されています
いままで何百冊と教本は読みましたが、この「の」について言及している本はあっても、具体的な説明はないんですよね
初めて「の」の効果を言語化して説明している本を読みました
勉強になるので読んでみてください

一般に出ている俳句の教本よりはるかに勉強になると思います


本の中で印象深かった俳句を引用させていただきます

いまに手放す風船を持ち歩く

「いまに」が良いです。ぱっと言葉を入れるとしたら「いつか」などを、置いてしまいそうですが、ここはどう考えても「いまに」しかないです
普通の言葉で、簡単に出るように見えますが、簡単には出てこない言葉だと思います
「いつか」ではなくて「いまに」であることで、そうするまでの時間が短くなります
結果的に、いままさに手放すことはできても、もう少し持っていようか、という心の揺れ動きも浮かび上がります

この句を読んだとき
風船をいま自分の周りにある大切な物や人、と見ているような感覚にもなりました
「いまに手放すことになってしまうかもしれない周りの大切な物や人。だからこそ、いまの一瞬をより大切に過ごしたい」と
そして、一番最後に手放す風船は、まさに自分の体だというようにも感じられました
「最後に手放すことになるだろう自分の体。だからこそ、いまの一瞬を誰よりもそばで歩いていきたい」と

自解では風船を読んでいると書かれていました
おそらくその通りだと思いますが、俳句を読むときに鑑賞者はそれぞれの解釈で読むことができます
よい俳句は鑑賞者の想像を広げてくれます
本書に収録されている俳句は、想像の広がる俳句がとても多くありました

純粋に作品としても、俳句作りの教本としても良い本です