俳句で分からないことに突き当たったときの対処法

 
 
俳句の勉強中に、分からないことに突き当たることがある
そのとき、「あぁ、どうすればいいんだ!!」とやみくもに考えて対処をしようとしても、たいがい上手くはいかない
そういう時は、次の3ステップを意識して順番に対処した方がよい
 
 
1.分からないことに気がつき、具体的にどこが分からないことなのか正確に把握すること
2.解決法を考える
3.実行して、結果を評価する
 
 
1.分からないことに気がつき、具体的にどこが分からないことなのか正確に把握すること
分からないことに気づかなければそれを改善することなど、そもそもできないので
まず、分からないことが起きていると気がつくことが大切
例えば
「自分は文語文法が分かっていない」ということに気が付くこと
 
その上で、具体的にどこが分からないことなのかを正確に把握すること
例えば
文語文法が分からないと言っても
「具体的にどこが分からないのか?」
「どこが分からないから作れないのか?」
を考える
 
すると

どのような助動詞があるのか分からない

助動詞の意味が分からない

どういうときに助動詞を使えばよいのか分からない

 

 
といったように、具体的に分からない部分が見えてくる
ここが分かれば、解決する方法を考えることができる
 
 
2.解決法を考える
解決法は、いろいろ出しておいたほうが良い。一つの案が失敗しても他の案で試せるから

問題

解決策

どのような助動詞があるのか分からない

 

俳句や短歌で使われる頻度の高い助動詞を抽出する

古典の教本でどのような助動詞があるのかを調べる

古語辞典で助動詞を調べる

助動詞の意味が分からない

 

抽出した助動詞の意味を調べる

助動詞と、その意味を一見して分かるように表にする

どういうときに助動詞を使えばよいのか分からない

 

助動詞がどこに接続するのか、調べて一覧にする

 
 
 
3.実行して、結果を評価する
解決方法を考えたら実行して、それが上手くいくのか、いかないのかを評価する
 
 
 
この3ステップを踏めば、俳句の勉強で分からないことに突き当たっても
大概は自分の力で解決することができるようになる
ぜひ試してほしい
 
 
 
 
 
 
 
 

歳時記は「新版 角川俳句大歳時記」がお勧め


俳句作りには絶対に「歳時記(さいじき)」が必要です
いろいろな歳時記がありますが、お勧めはやはり「新版 角川俳句大歳時記」です
俳句作品の掲載数が、他の本に比べて圧倒的に多いです
それだけあなたの感性に合う作品が載っている可能性は高いはずです

去年久しぶりに新版として発売されたので、大歳時記を持っていないようでしたら
この機会に購入してみてはどうでしょうか

カシオの電子辞書に、この新版も入っていれば電子辞書を購入すればいいのですが
最新機種でもまだ入っていないので、自分は本で購入しました

 



 

 

 


 

新年

 






句集『小さな花』の紹介


 






8人の合同句集
1人自薦45句、合計360句

220回続いた句会で、8人の作者が日本の四季の自然を詠み、自然に心情を重ねながら一文字一文字ていねいに作った作品集です
感動した作品が多く、読み応えのある充実した句集です
また、分かりやすい作品が多く、俳句に慣れていない人にも読みやすい内容となっていると思います

【収録俳句より】
明日ひらく辛夷は力ゆるめたる
道化師の顔に散りゆく桜かな
やはらかき大和ことばや梅ふふむ
石鹸玉生まれてすぐに出会ふ風
一人居の雛を飾りて時たぐる
山茶花の散りて根元を優しくす
朱の上皆が主役のひな祭り
雲までも赤く染めゆくななかまど




五・七・五のリズムが整ってさえいれば良い、というわけではない

 
自然や生活の中ではっと何かを感じたり感動したりした事を、五・七・五のリズムで表現したものが俳句である
だからといって、自分の感動を五・七・五のリズムで詠めば、それで俳句になるのかと言えばそうではない
 
リズム以上に、言葉が重要
言葉には、人間の心の底の何かをよびおこしたり、美的感覚を刺激する働きのものがある
その言葉の働きを使って
「読者の感動を呼び起こさせるもの」
でなければいけない
 
だから、言葉の表面的な意味で「私はこのような感動したんです」と伝えても、大抵、それは失敗に終わる
 
 
では、どうすれば読者の感動を呼び起こさせることができるのか?
言葉の組み合わせは作者自身で考えるしかないのだが
組み合わせるときに、常に「人間の普遍的な感情」を意識することは大事だ
 
例えば、「悲しい」という感情ひとつにしても
年齢が違うだけで、悲しみを感じる場面はそれぞれ違う
5歳と90歳では、悲しみを感じる場面はまったく違う
日本人と中国人、韓国人でも悲しみの感じ方は違う
欧米人であればもっと違うだろう
あなたの年齢、国籍、生きてきた環境などの狭い範囲で考えて、自分は悲しかったのだから読者も共感するだろう
そのように思っても、そうならない事の方がはるかに多いと考えておこう
それでも、人間であれば年齢、国籍を関係なしに、共通して感情を揺り動かす出来事はあるはずだ
そのような人間の普遍的な感情を意識して、言葉を紡ぐことが大切だ
 
 

例句を参考に俳句を作ってみる

 
 
良い句を作るには、名句を参考にするのが近道だ
名句を参考に俳句を作る方法を説明する
 
参考にする句

母が割る かすかながらも 林檎の音

 
 
参考にする句と同じように、主語と述語を作る

母が割る かすかながらも 林檎の音

 ↓

風が運ぶ

 
 
次に、「母が割る」は「林檎の音(季語)」に繋がっているので
「風が運ぶ」に繋がる季語を決める

母が割る かすかながらも 林檎の音

              ↓

風が運ぶ         桜の香

 
 
最後に「かすかながら」は「林檎の音」の修飾語なので
「桜の香」の修飾語を決める

母が割る かすかながらも 林檎の音

        ↓

風が運ぶ  儚きけれど 桜の香

 
このように手順を踏むことで
「母が割る かすかながらも 林檎の音」をいう俳句から
「風運ぶ 儚きけれど 桜の香」という俳句を作ることができた
 
今回のように、名句を参考にして、何度も何度も作ってみよう
何度も作って、名句の構造を体にしみ込ませよう
 
 
 
 
 
 
 
 

一物仕立ては、特徴以外は削ぎ落す

 一物仕立てで俳句を作るときには、対象物の特徴を見極めて
特徴以外のものは、そぎ落とすことが重要だ

例えばピカソの牛のポスターは、最初は牛のあらゆる部分が繊細に描かれているのだが、牛の特徴にはさして必要ない部分をそぎ落として行き、最終的に数本の線だけで牛の絶対的な特徴だけを描きだしている
線だけを見ると簡単に真似できそうだが、簡単にはできない


 












俳句もこのように対象物をじっと見て、それにしかない絶対的な特徴だけを詠む
それ以外の言葉は削ぎ落すこと
牛を言葉で表現するのに百万語は費やせない
十七音で表現しなくてはいけないのだ
「牛が水を美味しそうに飲んでいた」という意味のない情報を言うのではなく
「牛が水を飲む」ことを言うのなら、絶対的な「牛が水を飲む特徴」、馬でも羊でもなく「牛が水を飲む特徴」を見極めて、それ以外の余計な言葉はすべて削ぎ落すこと
このそぎ落としが上手くできるかが、人との違いにつながる



色の組み合わせを考えて俳句を作る

 

俳句を鑑賞していると、たまに美しい色彩が脳裏に浮かぶ作品があります

これを意識的に俳句作りに応用する方法を紹介します

 

具体的には、季語の色と、取り合わせる物の色を意識して作ります

季語に「夏の雲」を選んだ場合、読者の頭の中には白が浮かぶので、白と合う色も物を取り合わせに選ぶといいでしょう

 

例えば

清らかなイメージの「白×白」の組み合わせにする場合

物でいえば、例えば「夏の雲」と「セーラー服」を組み合わせて俳句を作る、といった具合です

 

シックなイメージの「白×黒」の組み合わせの場合

「夏の雲」と「書道」を組み合わせてもいいでしょう

 

爽やかなイメージの「白×青」の組み合わせをしたいなら

「夏の雲」と「海」で俳句を作る

 

このように、相性のいい色の組み合わせを意識して俳句を作ると、読者の頭の中にも美しい色彩を浮かばせることができます

 

「相性のいい色の組み合わせなど分からない」という場合は、絵画の色遣いを参考にすると良いでしょう

フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」は、背景の黒、ターバンの青、洋服の黄色の配色が際立っています

ゴッホの「ひまわり」は、背景、花瓶、机、ひまわりの全てが黄色で強烈な印象を与えます

マティスの「ダンス」は緑、青、オレンジの大胆すぎて忘れられない配色です

絵画を鑑賞すると、色の組み合わせのヒントが簡単に、そして沢山得られます

 

 

あとは、ネットで「色の組み合わせ」で検索すれば、良い色の組み合わせのパターンがいくらでも見つかるでしょう

 

例えば、下の2色の組み合わせもネットで見つけたのですが、配色バランスが良く印象的ではないでしょうか

このような色の組み合わせを参考にして俳句を作ってみましょう



なぜ特定の色の組み合わせで心地良く感じるのかは不明ですが

人がそれで心地よくなるのですから、理由など考えずに、それを利用すればいいだけだと思います

 

俳句作品を鑑賞していて、ぱっと色鮮やかな景が浮かぶものと、まったく浮かばないものがありますが

浮かぶ作品は概して、色の取り合わせが優れています

闇雲に作るのではなく、色の組み合わせを意識して作るだけで印象的な作品に近づけるはずです