464 俳句本の紹介です「俳句表現は添削に学ぶ」

 

 

 

俳句表現は添削に学ぶ 鷹羽狩行

 

季語・季感の捉え方、てにをはの使い方、切れの使い方など

添削を例に解説されています

例句をもとに解説がされているので、理解しやすくなっています

 

 

このような本は、俳句表現の注意点、問題点、間違いやすいポイントなどを勉強するためのもの

何度も繰り返し読むことで

「あぁ、こういう作り方はいけないのか」

ということを身につけることが目的です

 

このような事が分かって初めて

「自分の俳句の、この作り方はいけないのだな」

ということが、おぼろげながら見ることができるようになります

 

「自分の俳句の悪いところ」が分かるようになって初めて

自分の俳句を添削する作業に移れます

この順番を間違えてはいけません

 

 

「本を読んだけど、同じように添削なんてできないじゃん」

と思ってしまう人がいます(始めたばかりのわたしがそうでした)

いきなり添削なんてできるはずがありません

添削以前に、どこが悪いのかを見つけ出さなければいけないのですから

 

そのために、このような本を沢山読んで、知識を積み重ねてゆきます

 

 

455 新仮名を旧仮名に変えてみよう

 

 

俳句を作っていると、新仮名(現在使われている仮名)と旧仮名(昔の仮名)が混ざってしまう人は多いと思います

例えば、新仮名であれば「食う」「笑う」「やわらかい」と書く単語も、旧仮名だと「食ふ」「笑ふ」「やはらかい」と書きます

俳句の中で良く見かける単語でしたら間違えることもないのですが、あまり使われない単語だと間違って新仮名で表記してしまうことがあります

 

俳句を始めたばかりのころ、私もそうでした

昔の俳句を見返すと、新仮名と旧仮名が混ざっている俳句が沢山あります

 

ここでは、新仮名の俳句を旧仮名に変えるさいに、どのように旧仮名の俳句に直していくのか、流れを見ていきましょう

流れが分かれば、ご自身の俳句を旧仮名に直すことも簡単にできるようになると思います

 

例えば次の句

 

「山ぶどう 光きらきら 並びけり」

この句を、新仮名と旧仮名の両方で表記してみます

 

「やまぶどう ひかりきらきら ならびけり」(新仮名)

「やまぶう ひかりきらきら ならびけり」(旧仮名)

 

赤い太文字部分が、新仮名と旧仮名では違っている部分です

 

 

 

この、新仮名から旧仮名に直す方法が分からなくて、みなさん悩まれているのだと思います

しかし、これは皆さんの持っている辞書で調べれば、簡単に直すことができます

 

まず「山ぶどう」を調べます

すると、「山ぶどう」の横にカタカナで「・・・ダウ」と表記されていると思います

これは「山ぶどう」の最後の「どう」が、旧仮名だと「だう」になる

つまり「山ぶどう」になりますよ、という意味です

 

 

 

次に「光」を調べます

この単語には何も表記されていないので、新仮名も旧仮名も同じ「ひかり」ということです

 

 

「きらきら」を調べます

「きらきら」の横にも何も表記されていないので、新仮名も旧仮名も同じ「きらきら」ということです

 

 

 

このように順番に調べれば、新仮名を旧仮名に直すことは簡単にできます

 

「一つ一つ単語を調べなければいけないの?」

「そんなの面倒だ」と思われる人もいると思います

しかし、実際には全ての単語を

調べるわけではありません

 

「山ぶどう 光きらきら 並びけり」

赤い文字の、は漢字で書くわけですから、わざわざ旧仮名を調べる必要はありません

調べる必要があるのは平仮名、もしくは送り仮名の付いている単語だけですので

「山ぶどう」「きらきら」「並ぶ」の3つだけです

 

 

このようにしてみると、旧仮名を調べる必要がある単語は、一句の中でも2~3個程度です

一句で使われている全ての漢字に送り仮名が無ければ、まったく調べなくて良いこともあります

どうでしょうか?

旧仮名に直す作業は、それほど難しくないと感じたのではないでしょうか

 

 

何回か旧仮名を調べていると、この単語の旧仮名はこれだな、と覚えてしまうので、数か月後には、一句の中で1~2個調べるだけ、というように調べる回数は減っていくはずです

最初は面倒に感じると思いますが、頑張ってください







 

463 俳句で使われる「音便」をマスターしよう

 

 

「音便」というのは、動詞の連用形に現れる4つの変化で、以下の4種類があります

 

    イ音便

    ウ音便

    撥音便(はつおんびん)

    促音便(そくおんびん)

 

それぞれについて、説明します

 

 

 

①イ音便

「き」「ぎ」「し」「り」の子音 k, g, s, r が脱落して「イ」の音になる現象

「書きて→書いて」「泳ぎて→泳いで」「指して→指いて」「美しき→美しい」「おっしゃります→おっしゃいます」の類

 

てふてふと書きて放浪したくなる

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てふてふと書いて放浪したくなる

 

 

 

 

 

②ウ音便

「く」「ぐ」「ひ」「び」「み」などが「ウ」の音になる現象

「よく→よう」「思ひて→思うて」「呼びて→呼うで」「頼みたる→頼うだる」の類

 

父を思ひて陽炎のおもさかな

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父を思うて陽炎のおもさかな

 

 

 

 

 

③撥音便(はつおんびん)

連用形語尾の「に」「び」「み」が「て」「たり」などに連なるとき撥音(ん)に変化するもの

「死にて→死んで」「飛びて→飛んで」「読みて→読んで」の類

 

ばらばらに飛びて向ふへ初鴉

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ばらばらに飛んで向ふへ初鴉

 

 

 

 

 

④促音便(そくおんびん)

連用形語尾の「ち」「ひ」「り」が、「て」「たり」などに連なるとき促音(っ)に変化するもの

「勝ちて→勝って」「言ひて→言って」「ありて→あって」の類

 

万緑と言ひてかなしい奥歯かな

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万緑と言ってかなしい奥歯かな

 

 

 

 

※一つの語で二つの音便に詠みわけられる動詞もありますので注意しましょう

買ふ(他ハ四)買ひて(連用形+て)買うて(ウ音便)

              買ひて(連用形+て)買つて(促音便)

 

 

 

一音(場合によっては二音)が変化するだけですが、俳句から受ける印象も変化します

音便も意識して直すと、より良い俳句に近づくはずです

 

 

454 俳句の表現方法 =倒置法=

 

俳句の表現方法の一つとして、倒置法があります

倒置法というのは、文節を普通の順序とは逆にする表現方法です

 

 

燕はどこへ行くのか → どこへ行くのか、燕は(倒置法)

早く書きなさい   → 書きなさい、早く  (倒置法)

 

 

倒置法は、小説を書く作家さんが好んで使いますが

短歌や俳句などでもよく使われます

 

 

通常、文章では最後に来る単語に意識が向きます

ですから、倒置法を使って、単語を逆にすることで

後ろに来る単語に焦点を当てることができます

 

上記の例でいえば「燕」や「早く」が、読み手に印象付けることができます

一句の中で「一番言いたいもの」を、倒置法で最後に持っていくと良いでしょう

 

 

語勢を強めるにはよい表現技法ですが、使いすぎると違和感が出るので注意しましょう

 

 

 


462 「ゆく」を「くる」に変えてみる(推敲のヒント)

 

 

俳句の中で「行く」を使った場合、「来る」に直すと、印象が良くなることがあります

 

早朝に鶯枝を移りゆく

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早朝に鶯枝を移りくる

 

ただ「ゆく」を「くる」に変えてみただけですが、印象がぐっと変わりますよね

 

「ゆく」では、作者の立ち位置が分かりづらくなります

鶯の去っていった風景も広すぎて曖昧と言えます

しかし「くる」にすると、鶯が作者の前に現れた感じになりますので、風景も絞られて臨場感が生まれます

 

作った句の中に「ゆく」があったら、一度「くる」に変えてみることをお勧めします

 

 

453 形容詞の活用でク活用とシク活用の判別方法

 

 

俳句をやっていると、この単語は「ク活用」だったかな?「シク活用」と

分からなくなることがあります

ここでは、見分ける際の簡単なポイントを紹介します

 

 

 

ク活用とシク活用では、次の違いがあります

 

 

ク活用は

 

「赤し」「高し」「良し」「浅し」など事物の性質や状態を表す語が多い

 

現代の言葉に直すと

「赤い」「高い」「良い」「浅い」のように、語尾が「い」で終わる

 

「なる」を付けると、「くなる」となる

「赤くなる」「高くなる」「良くなる」「浅くなる」

 

 

 

シク活用は

 

「楽し」「悲し」「愛し」「美し」など心の動きを表す語が多い

 

現代の言葉に直すと

「楽しい」「悲しい」「愛しい」「美しい」のように、語尾が「しい(じい)」で終わる

 

「なる」を付けると、「しくなる」となる

「楽しくなる」「悲しくなる」「愛しくなる」「美しくなる」

 

 

 

 

 

使おうとしている単語が、「ク活用」か「シク活用」か分からなくなったときは、思い出してください

 

 

461 「けり」「をり」ばかりでなく「名詞止」を

 

 

俳句の文末に関してですが

「けり」「をり」を使うのもいいのですが、たまには省略して名詞で終わらせると、一句がどっしりします

この名詞で終わる方法を「名詞止」とも言います

 

 

雪柳風に流れてをりにけり

 

この句では、最後が「けり」で終わっています、これはこれで良いのですが

複数ある句の多くが「けり」や「をり」などで終わると、だらだらした感じを受けます

 

「けり」は「・・・だなぁ」という感慨です

「をり」は「・・・している」という意味です

 

毎回毎回、「儚けり(儚いなぁ)」「咲きにけり(よく咲いているなぁ)」「揺らぎけり(揺らいでいるなぁ)」と感動したり

「走りをり(走っているなぁ)」「流れをり(流れているなぁ)」「寝かせをり(寝かせているなぁ)」と説明されたりすると、読み手は疲れてしまいます

 

 

「けり」「をり」もいいのですが、たまには省略して「名詞止」にすると、一句がどっしりします

 

雪柳風に流れてをりにけり

  ↓↓↓

川風に揺れ従ひし雪柳

 

 

語順を変えて、最後を名詞で終わらせています

どちらがいいかは個人の好みですが、一句の終わり方が毎回同じでマンネリ化している場合は、語尾を変えて名詞止にしてみるのも、良いのではないでしょうか

名詞止にすることで雰囲気が大きく変わります