「どういう俳句が良い俳句なの?」と聞くけれど

俳句を始めたばかりの方から「どういう俳句が良い俳句なの?」と聞かれることがあります

俳句を始めて間もない頃の自分も「どの俳句が良くて」「どの俳句が悪いのか」が気になったし、知りたくて毎日ヤキモキしていました
それは何より、良い句を参考にして、一日でも早く先輩に追いつきたいと思っていたからです
「どういう俳句が良い俳句なの?」と質問をする人は、当時の自分と同じような気持ちを持っているのだと思います

数多ある俳句の中で、「どの俳句が良い俳句なのか」ですが
それは、自分自身が読んだときに、すっと心に入るもの、単純に「この句、自分は好きかも」と思う句が、あなたにとって一番良い句です。としか言いようがありません

このように言うと、「ふざけるな」と言う声が聞こえてきそうですが、ふざけてはいません
初心者の感覚は、今この時期だけのものです
なんの雑念もなく、まっさらな心の時期に選ぶことができるのは、今しかありません
だから、自分の感性、価値観を信じて選ぶのがいいと思います

「どういう俳句が良い俳句なの?」と聞く人は、「多くの人が良いと思う句はどれ?」という意味も含めて質問をしているのだと思います
ただ私は、まずその視点自体が間違っていると思います
良い句を探すときは、自分が良いと感じる句を探すのが第一であって、他人が良いと感じる句を探すのではないということです

よく
俳句歴50年の先生が良いと言った句だから「良い句」
句会で一番票の入った句だから「良い句」
○○賞に入選した句だから「良い句」

というように判断をする人がいます
そのようにして「これが良い句なのだ」と思うことは、絶対にやめた方がいいでしょう
それは単なる「同調」です
他人の価値観に「同調」することと、自分の価値観で作品に「共感」することはまったく別物です
これを混同してはいけません
人は人と違う感じ方をするのが当たり前です。人の意見に同調ばかりしていたら、人とは違う感じ方をすることも出来なくなってしまうのではないでしょうか
「人とは違う感じ方」は俳句作りの核にもなります

「自分が好きだ」と思う句が、良い句なのです
そして、その句を参考にして勉強することが良いのだと思います

他人の感性を信じるのではなく、自分の感性を信じましょう