508 真逆の事柄を入れて俳句を作ると面白くなる

 

 

俳句では一句の中に、二つの対になる事柄を入れて面白さを出すことがあります

 

対義語の取り合わせとも言えます

 

例えば、「長・短」、「高い・低い」、「暗い・明るい」などを取り合わせます

 

 

真逆の事柄を一句の中に入れることで、一番言いたいことの位置関係が鮮明になります

 

「明るい」ということを言いたいとします

そのとき、同じ句の中に「暗い」という情報が入っていると

読者は「暗い」という情報と比較することができるので、明るさが際立つことになります

 

 

例えば次の句は、大きなものと、小さなものを取り合わせています

 

寒風や砂を流るる砂の粒  石田勝彦

 

「寒風」という大きなものと、「砂の粒」という小さなものを組み合わせていることで、「砂の粒」の小ささが際立ちます

 

 

 

 

「長」+「短」

「高い」+「低い」

「暗い」+「明るい」

 

これらは、視覚的に反対の事柄ですが

視覚的なものでなくても構いません

 

相反する感情を同時に一句に入れることで、俳句に面白さを入れることもできます

 

「緊張」する事柄と、心が「緩む」事柄の取り合わせもいいでしょう

 

「落雷(緊張)」+「友人からの手紙(緩和)」

 

落雷が起きて緊張感が高まりますが、その時に、懐かしい友人からの手紙が来て緊張感が緩む

この相反する心の変化で、読者に面白さを感じてもらうのです

 

 

実例としては、このような句があります

 

しんしんと寒さがたのし歩みゆく  星野立子

 

 

「しんしんと寒さが・・・」まで読むと、普通は物寂しい感じ、身の縮む感じがするものですが

ここから突然「たのし」という真逆の言葉が飛び込むことで

読者ははっとさせさられます

 

 

このような作り方は、俳句作りの一つの技法にもなっています

真逆の事柄を使って、いろいろな俳句を作ることで表現の幅が広がります

ぜひ試してみてください