499 俳句で「もう少し具体的に詠みなさい」と注意されたら

 

 

俳句を作るときに「具体的に詠みなさい」と、注意されるときがあります

自分としては具体的に詠んでいるつもりでも、先輩方から見ると「具体的」ではないのです

 

 

このような注意が繰り返されると、初心者は

「では、どうすれば具体的な俳句になるの?」と困ってしまいます

 

 

ここでは、具体的でない俳句というのは、どういうものか

そして、そのような句は、どうすれば具体的な句になるのかを説明します

 

 

 

【具体的でない俳句】

 

あぜ道で蛙がひとつジャンプした

 

 

あぜ道で蛙がジャンプした、という句です

ちゃんと状況が分かるのでは?と思うかもしれません

確かに状況は分かります。漠然に。

 

少し考えてみてください

一体、ここで言おうとしている「ジャンプ」とは、どういうことなのでしょうか

蛙は隣の田んぼに移動するためにもジャンプしますし、人に驚いてもジャンプします

畔から水田にジャンプすれば、草から地にもジャンプします

つまり「ジャンプ」という抽象的な言葉では、読み手に伝わらないのです

 

 

先輩方が「もうすこし具体的に詠みなさい」というのは

具体的に詠んでもらわないと、あまりにも漠然としすぎて

どのような景色であるのか分からないと言っているのです

 

 

 

上記の句で具体的に表現するためには「ジャンプ」の部分を直せばよいのです

「何故ジャンプしたのか」

「どのようにジャンプしたのか」

という考えで詠むと良いでしょう

 

 

 

【推敲】

我が影に触れて蛙のひとジャンプ

 

 

作者の影に触れた蛙が、驚いてジャンプをして逃げた、ということです

具体例を盛り込むことによって、書き手が何を言わんとしているのか、その真意が伝わります

 

具体例には、情報を明確化する力があります

 

 

 

 

 

句会などで先輩から、「もう少し具体的に詠みなさい」と注意されたら

抽象的な部分を作り直すと良いでしょう

もし、抽象的な部分が分からないようでしたら

「動詞」を確認してください

抽象的な印象を持たせるのは、大抵動詞だからです

 

 

名詞(先ほどの句の「あぜ道」や「蛙」)というのは、それだけで物事の名称をあらわします

それだけで意味がわかる言葉ということです

ですから、名詞が「抽象的」になることは無いと思って大丈夫です