五・七・五のリズムが整ってさえいれば良い、というわけではない

 
自然や生活の中ではっと何かを感じたり感動したりした事を、五・七・五のリズムで表現したものが俳句である
だからといって、自分の感動を五・七・五のリズムで詠めば、それで俳句になるのかと言えばそうではない
 
リズム以上に、言葉が重要
言葉には、人間の心の底の何かをよびおこしたり、美的感覚を刺激する働きのものがある
その言葉の働きを使って
「読者の感動を呼び起こさせるもの」
でなければいけない
 
だから、言葉の表面的な意味で「私はこのような感動したんです」と伝えても、大抵、それは失敗に終わる
 
 
では、どうすれば読者の感動を呼び起こさせることができるのか?
言葉の組み合わせは作者自身で考えるしかないのだが
組み合わせるときに、常に「人間の普遍的な感情」を意識することは大事だ
 
例えば、「悲しい」という感情ひとつにしても
年齢が違うだけで、悲しみを感じる場面はそれぞれ違う
5歳と90歳では、悲しみを感じる場面はまったく違う
日本人と中国人、韓国人でも悲しみの感じ方は違う
欧米人であればもっと違うだろう
あなたの年齢、国籍、生きてきた環境などの狭い範囲で考えて、自分は悲しかったのだから読者も共感するだろう
そのように思っても、そうならない事の方がはるかに多いと考えておこう
それでも、人間であれば年齢、国籍を関係なしに、共通して感情を揺り動かす出来事はあるはずだ
そのような人間の普遍的な感情を意識して、言葉を紡ぐことが大切だ