260 俳句の作り方 【動詞より名詞を使おう】




■ 俳句では、動詞より名詞を使ったほうが良い

俳句を作るとき、なるべく動詞ではなく名詞で作ったほうが、すっきりした印象の句になります


例えば下の句を、動詞から名詞に直してみます

川風に
山茱萸(さんしゅゆ)の花
揺らめきぬ(動詞)


川風に
山茱萸の花
ひと揺らぎ(名詞)


名詞の方がすっきりしますよね?
中には動詞の方が良い場合もありますが、多くの場合において、動詞より名詞の方がすっきりとした良い句になることが多いようです




■ 動詞は重く感じる
動詞の多い句を鑑賞すると、重く感じることがあります
重く感じる理由の一つは
動詞というのは、動作を表す言葉であるため
その単語を見たときに、一度その動きを頭の中で再生しなくてはいけません
その頭の中で一度考えなければいけないことが、頭を疲れさせてしまい
結果的に、重く感じさせることにつながるのだと思います


上記の「揺らめく」という単語ですが
「揺らめく」という単語は、人によってイメージする動きが
微妙に違います

大きく揺らめいている状態をイメージする人もいれば
かすかに煙のように揺らめいている状態をイメージする人もいます

このような動きの幅の中から
作者が伝えようとしている動きを想像することは大きな負担になります

一方で、名詞の「ひと揺らぎ」は
どの人が想像しても、ほとんど違いはなく、同じような揺らぎを想像するはずです
そのため、すっと頭に入りやすく、鑑賞者はイメージを湧かせやすいと言えます


このような理由もあって
俳句では、動詞より名詞を使ったほうが良い、と言われます






■ 動詞を名詞にする方法

では、動詞を名詞にするにはどうすればよいのでしょうか?
簡単には、母音を「う」から「い」に変えます
動詞の母音は多くが「う」で終わります
一方、名詞の多くは「い」で終わります

ですから、「揺らめく」の場合
「大揺らぎ」や「ひと揺らぎ」などとして、名詞に変えます

参考になさってください