575 俳句の間違いで多い「つ」と「つつ」の使い分け

俳句の実作で見かける言葉、「つ」と「つつ」ですが
間違った使い方を見かけるので、紹介します

最初に、意味の違いを説明します
「つ」は、完了の意味合いがあり「・・・てしまった」「・・・てしまう」
「つつ」は反復や継続などの意味合いがあり「何度も・・・ては」「・・・し続けていて」となります


ですから、「拭きつ」と「拭きつつ」では、次の違いがあります
「拭きつ」は、「拭いてしまった」
「拭きつつ」は、「何度も拭いては」です


では実際に、俳句作品を見てみましょう

顔拭き遠くに初音聞きにけり

このような「つ」の使い方は、よく見かけます
これですと、意味は「顔を拭いてしまった。遠くに初音を聞いたのだ。」となります

本来であれば、「顔を拭きながら、遠くに初音を聞いたのだ。」と言いたかったのではないでしょうか

それであれば、ここでは
顔拭きつつ遠くに初音聞きにけり

上五を五音におさめるために、おそらく「つつ」を「つ」にしたのだと思いますが
意味が大きく変わってしまいます
使うときは注意しましょう