574 俳句で動詞を入れると説明的になる


俳句を作るときに、先輩から「あまり動詞は多く入れないほうがいいよ」とアドバイスを貰ったことのある人は多いと思います
なぜ、俳句ではあまり動詞を入れない方がよいのか、ですが
俳句に動詞を入れると、説明的になることが理由にあります

○○がある、○○が来た、○○が揺れる

赤文字部分が動詞ですが
このような動詞のついた文は、「何がどうした」という形になってしまい、それだけで説明的な文章になってしまいます
俳句は詩です
何らかの説明文を出されて、それを詩だと感じる人はいませんし
そもそも、説明文を見て感動をする人はいません


具体例で見てみましょう

食事する 枝垂れ桜の 傘の中

赤い部分が動詞です、説明のような俳句です
どこが説明なのかわからない人は、語順を変えてみてください
説明文であることが明確になります
「枝垂れ桜の傘の中で食事する」


ここで、動詞を消して、言葉を修正します

飲食(おんじき)を  枝垂れ桜の 傘の中

動詞を消しただけで、先ほどとは、印象が大きく変わったと思います
先ほどと同じように、語順を変えます
「枝垂れ桜の傘の中で飲食を」
文の後に余韻が続くのが感じられます


「飲食(おんじき)を  枝垂れ桜の 傘の中」 は、木内怜子さんの名句です
動詞がある状態と、ない状態の違いを分かってもらいたくて、例に使わせてもらいました


もちろん、動詞を含んだ名句はたくさんあります
ただ、動詞を使うときに、それが本当に必要なのか
動詞を消して表現をすることができないのか、は必ず考えた方がいいと思います