578 俳句では、なぜ省略をしなさいと言われるのか

 

俳句での省略は、主に鑑賞者の想像の引き金になる

それを狙って省略をする

 

例えば

 

桜が風に吹かれて揺れている

桜が吹かれた

 

前者は、最後まで結論を言っているため、それ以上の想像は広がらないが

後者は、吹かれたのだけれど、吹かれた後の想像を、読者が自由にできる

同じように枝が揺れたのかもしれないし、花弁が一斉に舞い散ったのかもしれない

桜が吹かれた瞬間に、自分の背中からも風が吹き抜ける様子を想像する人もいるだろう

 

俳句は短すぎて何も言えない

だから「わざと省略して言わないことで、その先は読者に想像してもらう」

そんな方法が有効に働きやすい文学だ

 

 

「桜が風に吹かれて揺れている」は

「なにが」「どうして」「どうなった」という構造だ

初心者は大概、この構造で俳句を作ってしまう

このように全部言わないと、読者に分かってもらえないのではないか、と不安に思うからだ

不安に思う必要はない

言葉が足りなければ、その先は読者が想像してくれる

無理に言葉と詰め込むことは得策ではない

 

 

「なにが」「どうして」「どうなった」でも

「いつ」「どこで」「どうなった」でもなんでもそうだが

この3段階構造は、すべて2段構造で丁度いい

 

「なにが」「どうなった」

「いつ」「どうなった」

 

 

少し意識して使ってみてほしい