456 俳句は「意味を伝えてはいけない」と言うけれど

 

 

俳句は意味を伝えるものではない

 

「俳句は意味を伝えるものではない」というように言われます

「意味を伝える」のではなく、「情景を思い出させる」ようにすることが良い俳句につながります

このような注意は、多くの先輩が俳句初心者に向けて繰り返す言葉なのです

しかし、言うほど簡単には「情景を思い出させる」俳句を作ることは難しく、「意味を伝える」俳句になってしまうものです

ここでは、なぜ意味を伝える俳句になってしまうのか

どうすれば、そのような俳句から抜け出すことができるのかを説明します

 

 

 

 

なぜ、意味を伝えようとしてしまうのか?

 

意味の理解できない文章を読むと、多くの

人は「どういう意味だ?」とイライラしてしまうものです

すっきりと理解ができないと、人間はこのように不快感を覚えてしまうのです

ですから、始めて俳句を作ろうとするときも、多くの人が

 

相手にすっきり分かってもらえるようにしないと・・・

理解してもらえる俳句を作らないと・・・・

 

と思ってしまい、それをそのまま実践して「意味の分かる俳句」を作ってしまいます

 

 

 

 

 

 

意味の分かる俳句は、このようなものです

 

雨が降り 蛙がみんな 鳴きだした

 

雨が降ってきたから、蛙が鳴いたと、言っています

 

この時、作者は「蛙が一斉に鳴きだした」ことに感動したので

「蛙が鳴いた」という事だけを言えばいいのです

 

しかし、いざ俳句を提出する段階になると、次のように考えてしまいます

 

 

蛙が鳴いた、だけ言っても、読者は、蛙がなぜ鳴いたのか、分からないよな

鳴いた理由も書かないと、俳句の意味が伝わらないかも・・・

そのように考えてしまい、必要のない「雨が降ったから」という意味付けをしてしまいます

 

 

 

 

 

 

意味の分かる俳句は、なぜ駄目なの?

 

では、なぜこのような「意味の分かる俳句」はいけないのでしょうか

例えば、先ほどの俳句ですが

 

雨が降ってきたから、蛙がみんな鳴きだした

 

皆さんにも考えてほしいのですが

はたして、これは俳句らしいでしょうか

詩のように感じるでしょうか

おそらく、誰も俳句や詩とは思わないはずです

ただの報告にしか感じないのではないでしょうか

 

 

俳句で意味付けをしてしまうと、とたんに「報告」となってしまうのです

このような句は「報告句」とも呼ばれます

 

意味を分からせようとするほど、報告句となることを注意しなければいけないのです

 

 

 

 

 

 

 

 

では、意味を伝えないで、どのように俳句を作ればいいの?

 

そのような疑問が生じると思います

先ほども説明しましたが、このときは

「蛙が鳴いた」「蛙が一斉に鳴いた」と、一番最初に作者が感動したことだけを詠めばよいのです

 

蛙が鳴いた?これだけで俳句になるの?

それこそ、詩でもなんでもないのでは?

 

と思うかもしれません

確かに、それだけでは駄目です

 

 

ポイントは、「蛙が鳴いた」ときに作者が感じた気持ちも、読者にも感じられるように書くのです

つまり、蛙が鳴いて「楽しそうだった」ら、楽しそうに鳴いている様子を書きます

「悲しそうだった」ら、悲しそうに鳴いている様子を書きます

 

 

難しそう、と思うかもしれません

そうです、ここが一番難しいです

難しいと同時に、ここが俳句の肝になります

ここを無視して俳句を作ることもできますが、失敗することも多いです

 

 

俳句は意味を伝えるのではなく、その情景(作者の感じた感“情”も入れた風景)を伝える

そうするだけで、ぐっと良い俳句が作れるようになります

 

 

 

最後に

 

楽しそうに鳴いている様子を書く

悲しそうに鳴いている様子を書く

と言いました

これらの表現方法は十人十色で、こここそが作者の腕の見せ所です

ただ初めて俳句を作る人では、その表現方法が分からないという人もいると思いますので、一つヒントを書きます

 

 

言葉と言うのは不思議なもので、その単語があるだけで、「楽しそうと」感じたり、逆に「悲しそう」と感じさせるものがあります。言霊のようなものでしょうか。

 

例えば、「ぽかぽか」「安らぎ」「軽快」などからは、楽しそうな感じが受けますし

「やつれる」「憂い」「哀れみ」などからは、悲しそうな感じを受けます

 

つまり、一句の中にこのような単語を織り交ぜることで、楽しそうな様子や悲しそうな様子を出すことができるのです。

 

 

簡単に言うけれど、楽しそうな言葉なんて、思いつかないよ

という人もいるでしょうか?

 

 

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