408 悪い俳句とは何か




悪い俳句を紹介する前に、まず良い俳句の条件を挙げてみます
読み手の視点に立つと、以下の3つの要素を満たしている俳句は、読んでいて心地が良いといえます
・読みやすい:つまずくことなく流れるように読み進められる
・分かりやすい:一度読んだだけで内容をスッと理解できる
・信頼を持てる:曖昧なところがなく納得感がある


そうなると、悪い俳句はこの逆の条件を満たしたものとも言えるのではないでしょうか
①読みにくい:ところどころつまずいて流れるように読み進められない
②分かりにくい:一度読んだだけでは内容が理解できない
③信頼を持てない:曖昧なところがあり納得感がない



①    読みにくい:所々つまずいて流れるように読み進められない

俳句で言えば三段切れなどが最たるものでしょう

銀漢や/砂場なる山/旗一つ


上五、中七、下五がそれぞれ分裂しているため、声に出して読んでみると、読みづらいことが分かると思います
ただでさえ短い17音の俳句を、さらに三分割に切り刻んでしまうと、細かくちぎれた喉ごしの悪い蕎麦のようになってしまいます


②分かりにくい:一度読んだだけでは内容が理解できない

鳥空に舞いて裏返りたる雲

鳥が舞ったのか、鳥が裏返ったのか、雲がどうかなったのか
一度読んだだけでは、ほとんどの人が内容を理解できないのではないでしょうか
このような句になってしまう理由は、余りにも多くの事物を入れてしまうからです
「鳥」「空」「舞う」「裏返る」「雲」
始めの頃は、目にした全てのものを入れたいものですが、17音の中でそのようなことをすると、結局は読者に伝わらなくなってしまいます

言うことは一つに絞ることが大切です
「鳥が舞った」「鳥が裏返った」など、一つのことだけを詠みましょう
それだけで、すっきりとした分かりやすい句になるはずです


③信頼を持てない:曖昧なところがあり納得感がない

学校の校舎に歌う赤とんぼ

学校で赤とんぼの歌を歌ったのか
歌う赤とんぼがいたのか
校舎に赤とんぼが飛んでいるのか

余りにも曖昧過ぎて、これでは何を言いたいのか分かりません
一度俳句を作ったら、「このようにしか読むことができない」というところまで、何度も推敲を重ねなければなりません

推敲をする際のポイントですが
「学校の校舎」「歌う」「赤とんぼ」
というそれぞれの題材を眺めてみて
「学校の校舎」が、「歌う」か「赤とんぼ」の、必ず一方にしか繋がらないかどうか確認しましょう
両方のどちらにも繋がるようだと、読み手によって、それぞれの解釈をされてしまうでしょう



悪い句の注意点を解説しました
ご自身の句を推敲する際の参考になさってください