368 一読して明確な景を浮かばせるための3つのポイント



俳句を作っていると、先輩方から
「一読して明確な景が浮かぶ句を作るように」と指摘を受けます
では、一読して明確な景を浮かばせるには、どうすればよいのでしょうか
ここでは、俳句の景を鑑賞者の頭に浮かばせる3つのポイントを紹介します



景が浮かばない俳句に共通しているのですが
景の浮かばない俳句は、多くの場合、内容がごちゃごちゃしています
そのため、鑑賞者側の頭の中に、具体的な景が思い浮かばないのです

内容がごちゃごちゃしてしまう大きな理由は
目に入った題材を全て17音の中に入れてしまうケースがあります
17音の中に、空、鳥、虫など、その時目に入ったものを全て詰め込んでしまうのです

例えば次の句

「空に鳥/飛んで虫取り/消え去った」

これを読んだとき、ほとんどの人が一読しては景色が浮かばないと思います


景色をぱっと思い浮かばせるためには、材料が少ないほど良いのです
できれば、材料を一つにしてしまっても良いでしょう

「空に鳥が飛んでいる様子」だけを描く
「鳥が虫を取った瞬間」だけを描く
「虫をくわえた鳥が消え去る様子」だけを描く

といったように、題材は一つに絞ると、鑑賞者の頭にも景が浮かびやすくなります




俳句を作り始めたばかりの人で多い失敗です
珍しい景色を詠んだ方が、面白い俳句になるのでは?と思い、そのような題材で俳句を作ってしまうことがあります

しかし、珍しい景色というのは、その景色を見たことのある人は少ないということです
鑑賞者が、その景色を見たこともなければ、いくら俳句を鑑賞したところで、風景は浮かびません


つまり、題材を選ぶときは
「皆が経験したことのある景」
「誰もが見たことのある景」にするべきです

そうしなければ、一読して明確な景が浮かばせることは難しいでしょう



普段使わない単語を使った句も、やはり景を浮かべるのが難しくなります

難しい単語を使えば使うほど、鑑賞者はその単語で止まってしまい、そこから読み進められなくなります
これでは、景色など浮かびようがありません

例えば
「白壁が夕焼けで赤く染まった」
「白壁が夕焼けで鴇色(ときいろ)に染まった」

同じことを言っているのですが、すぐに景色が想像できるのは上の方ですよね?


このように、「難しい単語」「普段使わない単語」は控えて
皆が知っている単語を使うこともポイントになります





■ まとめ

「一読して明確な景が浮かぶ句」を作るためには

①句の中の材料は極力少なくする
②誰もが見たことのある景を詠む
③皆が知っている単語を使うこと


このポイントが大切になります