323 「新字 新仮名 旧字 旧仮名 」の表記の違い




俳句関連の本を読んでいると
「新字 新仮名 旧字 旧仮名」といった言葉がでてきます
それぞれの言葉の意味が分からないと、何を言っているのかが分からないので
中途半端に理解されている方は、ここでしっかりと意味を理解しておきましょう





それぞれの違い

新字
新しい(現代の)漢字
新仮名
新しい(現代の)仮名遣い
旧字
古い(昔の)漢字
旧仮名
古い(昔の)仮名遣い


具体的に、それぞれの表記方法を見比べてみましょう




それぞれの表記の違い

句会
当然
今回
複数
読者
新字
句会
当然
今回
複数
読者
新仮名
こい
くかい
とうぜん
こんかい
ふくすう
どくしゃ
旧字
句會
當然
今囘
複數
讀者
旧仮名
こひ
くくわい
たうぜん
こんくわい
ふくすう
どくしや


このように
「新字」は現在私たちが使っている漢字となります
「新仮名」も現在私たちが使っている仮名遣いです
「旧字」は、昔使われていた漢字です。「恋」は「戀」と書いていました。ただ昔使われていた漢字といっても「句會」の「句」は、現在でも使われている(残っている)漢字ですね。すべてが現在と違う漢字だったという訳ではありません。
「旧仮名」は、昔使われていた仮名遣いです。「こい」は「こひ」と書いていました。「ふくすう」のように、昔も今も変わらない仮名遣いもあります。



さて、ここからが分かりづらいところです
「新字」「新仮名」「旧字」「旧仮名」だけでしたら意味も分かったと思いますが、俳句の本の中にはこれらが混ざった言葉が出てきます

「新字新仮名」
「新字旧仮名」
「旧字新仮名」
「旧字旧仮名」

このような言葉が平然と出てくるので、そのたびに読書の流れが止まってしまいます
それぞれの違いを説明します


新字新仮名
新しい漢字と、新しい仮名遣い(で書かれた文章)
新字旧仮名
新しい漢字と、古い仮名遣い(で書かれた文章)
旧字新仮名
古い漢字と、新しい仮名遣い(で書かれた文章)
旧字旧仮名
古い漢字と、古い仮名遣い(で書かれた文章)



表記の仕方も見ておきましょう
(見づらいと思いますが)それぞれの表記に対応する所を、同じ色にしました

今回のような
読者という人は
新字新仮名
今回ような
読者という
新字旧仮名
今回やうな
読者といふ
旧字新仮名
今囘ような
讀者という
旧字旧仮名
今囘やうな
讀者といふ


何となくお分かりいただけたでしょうか?


なぜこのような、ややこしい分類がされていて、その違いを覚えないといけないのか、ですが
俳句で圧倒的に使われている表記法が、上記の中の「新字旧仮名」だからです
ですから、俳句を作ってゆく上で、どうしても「新字旧仮名」を覚えなくてはいけなくなります


俳句に多い表記法

「新字新仮名」
「新字旧仮名」 ← 俳句に多い表記
「旧字新仮名」
「旧字旧仮名」




なぜ俳句は「新字旧仮名」なの?

昔の俳句は旧字旧仮名を使って作られていました
しかし、新字が浸透している現在においては、ほとんどの俳句が新字で作られるようになりました
旧字と新字は単に表記の違いというだけで、漢字の意味は同じです。ですから、わざわざ現在において旧字を使う必要は無いのです
どうしても旧字で作りたいのでしたら、旧字で俳句を作っても良いとは思いますが(そのような俳人も稀にいます)、多くの人がその俳句を鑑賞できなくなることは覚悟する必要があるでしょう

旧字が新字になったのなら、旧仮名も新仮名に変えればいいのでは?と思うかもしれませんが、これは変えることができない理由があります。俳句の命ともいわれる切字の「や」「かな」「けり」などが旧仮名だからです
仮名遣いまで現代のものに変えてしてしまうと、切字が使えなくなってしまうのです
自分は「切字は使わなくていいや」と思えば、「新字新仮名」で作っても問題ありません



もしこれから先、切字に変わる言葉が新仮名の中に現れれば、全ての人が新字新仮名で俳句を作るようになるかもしれません
















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