241 「梅雨」「五月雨」の季語と季節について




「梅雨」「五月雨」に関する季語をまとめています


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「梅雨」「五月雨」は夏の季語です
梅雨、五月雨には様々な子季語があり、理解しづらい部分もあるので、それぞれの意味の違いをまとめます
意味を理解して使えるようになると、さらに俳句作りの幅も広がるはずです



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■「梅雨」「五月雨」の時候の季語


梅雨(つゆ)、梅雨(ばいう)
六月ごろ、ひと月にわたって降りつづく長雨
梅の実の熟れるころの雨のため呼ばれる
梅雨の季節をさすこともある
梅雨は時候を表し、五月雨は雨を表すと歳時記には書かれているが、必ずしもそうではない
五月雨と梅雨は同義語である



五月雨(さみだれ)、さつき雨(さつきあめ)、さみだれ、さみだる
梅雨は時候を表し、五月雨は雨を表すと歳時記には書かれているが、必ずしもそうではないようだ
五月雨と梅雨は同義語である
農作物の生育には大事な雨も、長雨は続くと交通を遮断させたり水害を起こすこともある



梅霖(ばいりん)
梅雨、五月雨の別名



黄梅雨(こうばいう)
梅の実の黄熟から名づけられた



黴雨(ばいう)
長雨によって、黴が生えるような湿っぽさから名づけられた



青梅雨(あおつゆ)
梅雨の別名
梅雨時期の木々は葉も色が濃い、青梅雨はそうした木々の葉に降ることから



梅雨時(つゆどき)
梅雨の時候のこと





■「梅雨」「五月雨」の気象現象の季語


梅の雨(うめのあめ)
梅の実の付く時期に振る雨ということから
梅にとって恵みの雨



荒梅雨(あらづゆ)
災害をもたらすほどの集中豪雨となる梅雨時期の雨



梅雨じめり(つゆじめり)
梅雨のじめじめした感じ
陰気な陽気となる




梅雨空(つゆぞら)、梅雨の空(つゆのそら)、梅天(ばいてん)
梅雨どきの空模様をいう
空全体が分厚い雲に覆われて鬱陶しい



梅雨晴(つゆばれ)、五月晴れ(さつきばれ)
梅雨の期間中の一時的な晴れ間



五月空(さつきそら)、皐月空(さつきぞら)
五月のさわやかに晴れわたった空



梅雨雲(つゆぐも)、五月雨雲(さつきぐも)
梅雨どきの雲



梅雨曇(つゆぐもり)、ついり曇(ついりぐも)
梅雨どきの曇り空をいう
重くどんよりとした空である



梅雨の月(つゆのつき) 仲夏
梅雨の夜に思いもかけず見つけた月のこと。梅雨の晴間の夜空に煌々として輝くこともあれば、雨上がりの束の間、雲間に顔を出すのも梅雨の月。



梅雨雷(つゆかみなり)、梅雨の雷(つゆのらい)
梅雨の最中の雷
梅雨の前線が日本を通過するときに発生しやすい
雷が鳴ると梅雨明けるとも言われる



空梅雨(からつゆ)、てり梅雨(てりつゆ)
梅雨の期間に雨が少ないこと。てり梅雨。



梅雨前線(ばいうぜんせん)
5月から7月にかけ、日本列島を南から北上する停滞前線(暖かい空気と冷たい空気がほとんど同じ所で止まっている前線)





■「梅雨」の体感の季語


梅雨寒(つゆさむ)、梅雨寒し(つゆさむし)、梅雨寒(つゆざむ)、梅雨冷え(つゆびえ)
雨が降り続く梅雨のころの冷え
農家の人は寒いので布子を着て田植えをすることもあった





■梅雨の前後の気象について


走り梅雨(はしりづゆ)、梅雨の走り(つゆのはしり)、前梅雨(まえづゆ)、迎へ梅雨(むかえづゆ)
梅雨入りする前の五月下旬に、ぐずつく天候
そのまま梅雨入りすることもあるが、回復して晴れの日が続くこともある
沖縄や奄美地方が梅雨入りすると、本州南岸に前線が停滞し、梅雨のような天気になる
梅雨の前触れ




ついり、墜栗花(ついり)、 栗花落(ついり)
梅雨に入ること




送り梅雨(おくりづゆ)
梅雨明けのころの雨
雷を伴い、豪雨になることがある



梅雨明(つゆあけ)、つゆの明(つゆのあけ)、梅雨あがる(つゆあがる)、梅雨の後(つゆのあと)
梅雨が終ること
暦の上では入梅から三十日後とされる
梅雨前線が北上し、洋上に抜けると梅雨明けとなる
梅雨明け前は雷鳴を伴った豪雨となることも多く、その後は真青な夏空となる





■「梅雨」を冠した季語


梅雨茸(つゆだけ)、梅雨の茸(つゆのきのこ)、梅雨菌(つゆきのこ)
梅雨の時期に生える茸類の総称
倒木、切り株、湿った地面に生じる



梅雨の山(つゆのやま)
梅雨の頃の山をいう
たっぷりと雨を吸った山々の緑



梅雨穴(つゆあな)
梅雨時、降り続く雨によって道路などが陥没することをいう
大きな陥没になると、地滑りなどを誘発しかねず、大きな災害に繋がることもある






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■注意したい季語

菜種梅雨(なたねつゆ)
菜の花の盛りの頃に降る長雨
春のやわらかな雨
梅雨はの季語ですが、菜種梅雨はの季語のため注意が必要





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