211 「燕」の季語と季節について



通常「燕」といえば春の季語になります
ただ、夏や秋にも燕の特徴的な姿を見ることができ、それぞれ夏燕、秋燕などと呼ばれています
燕の季語の中には、濡燕や諸燕など、聞きなれない季語もあるので、それらの意味も含めてまとめます
俳句作りの参考になさって下さい





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■春の燕



燕(つばめ)、乙鳥(おつどり)、乙鳥(つばめ)、玄鳥(つばめ)、つばくら、つばつくめ、つばくろ
ツバメは春半ば、南方から渡ってきて、人家の軒などに巣を作り雛を育てる
全長 17cm。背面は光沢のある藍黒色、額と喉は赤褐色。腹面は白く、喉と胸の間に黒色の横帯がある
尾羽は長く、切れ込みの深い燕尾形



飛燕(ひえん)
飛んでいるツバメ



濡燕(ぬれつばめ)
雨に濡れそぼるツバメ



川燕(かわつばめ
川にいるツバメ



里燕(さとつばめ)
里にいるツバメ



群燕(むらつばめ)
群をなして飛んでいるツバメ



諸燕(もろつばめ)
雌雄そろっているツバメ



夕燕(ゆうつばめ)
夕ぐれに飛び回るツバメ



燕来る(つばめくる)
三、四月ごろ全国に渡来すること。軒や梁などに巣をかける



初燕(はつつばめ)
その年になって初めて目にする燕



岩燕(いわつばめ)、いわつばめ、だけつばめ
ツバメ科。体長は十五センチくらい。尾の切れ込みが浅く
腰の 白い小ぶりな鳥。もともとは山地や海岸の岸壁や洞穴に集団で営 巣していたが最近はビルや橋の下などに巣を作る
産卵期は四 月から八月にかけて。壷状の巣に一回に三四個の卵を産む
 「ジュリジュリピィピィ」と早口に濁った声でさえずる



燕の巣(つばめのす)、巣燕(すつばめ)、巣乙鳥(すおつどり)
燕は比較的人の集まるところ、人家の軒下、橋の下などに泥や藁 で巣を作る
人の集まるところには蛇や烏などの外敵が近づかな いといわれる
前年の古巣に土をつけ足して作ることもある。巣 ができるとそこで卵を産み、孵化させる







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■夏の燕


夏燕(なつつばめ)
夏に飛ぶツバメ。燕は春、南方から渡ってきて繁殖活動に入る。四月下旬から七月にかけて二回産卵する。雛を育てる頃の燕は、子燕に餌を与えるため野や町中を忙しく飛び回る。



親燕(おやつばめ)
ヒナを持つツバメ



燕の子(つばめのこ)
その年に生まれたツバメの子ども。五六羽のツバメの子が親から餌をもらうために大きな口を開けて巣から身を乗り出している姿はほほえましい



燕の巣(つばめのす)
ツバメの作った巣
比較的人の集まるところ、人家の軒下、橋の下などに泥や藁で巣を作る





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■秋の燕




燕帰る(つばめかえる)、帰燕(きえん)、帰る燕(かえるつばめ)、去ぬ燕(さるつばめ)、巣を去る燕(すをさるつばめ)
秋になって南方へ帰っていく燕
夏の間に雛をかえし九月頃群れをなして帰ってゆくと淋しさが残る




秋燕(しゅうえん)
秋になっても見かける燕



残る燕(のこるつばめ)
南方へ渡らず日本各地の暖地に残る一団の燕











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