111 自分の句の中で「どれが良い句なのか分からない」と言う人



俳句を作って、それをいざ提出する段階になると
自分の俳句の、どの俳句が良くて、どの俳句が悪いか分からなくなってきます
そうなると、どれを提出すれば良いのかも分からなくなってきます

これは、初心者だけに特有の悩みというわけではなく、俳句に慣れた先輩方も同じ悩みを持たれているようです
句会や、結社への俳句投稿、俳句大会への投句など、さまざまな場面のたびに、そのような悩みに付きまとわれるようです


このことに関して、私の考えなのですが
私は「自分が作った句の、どれが良い句で、どれが悪い句か」というのような考え方をしてもしょうがないと思っています
それよりも、自分の作った句の「どれが納得できるか」という考え方をした方が良いと思います


自分の作った句の良し悪しを判断するのは、その句を目にした鑑賞者です
そうなると、究極、人の感性など分かりようがないので、いくらそのようなことを考えてみたところで、答えなど出る問題ではないはずなのです
つまり、「自分が作った句の、どれが良い句で、どれが悪い句か」という悩みをしたところで、意味のないことなのです


自分で判断できるのは「自分の句が、納得できるか否か」だけのはずです

そして、自分で納得できる句だと確信すれば、人から悪い句だと言われたとしても、自分にはどうでもいい感想なのではないでしょうか
(ただ、「この部分が〇〇の理由で悪い」と指摘を受けて、成る程そうだな、と自分も納得する部分があるのならば、それは素直に意見を聞くべきです)


では、自分の納得できる句はどうやって探すのか?ですが
次の方法で、ある程度絞ることができると思います


自分の作った句が、100句あるとします

3カ月くらいの期間をおいてから
その100句を読み返してみます
そのときに、自分が好きだなと思う句にチェックを入れます

更に3カ月後くらいに読み返して、同じようにチェックを入れます

更に3カ月後くらいに読み返して、同じようにチェックを入れます

このように期間を置いて、三度くらいは読み返してみてください
そうすると、三度読み返して、三度ともチェックの入る句が、必ずあるはずです
そのような句は、他の句にくらべてみても、「自分の納得できる句」である可能性は高いはずです


チェックが0~2個の句は、おそらく何かしら問題があり、句の中に納得できない部分が隠されているはずです

句の流れ
音の感じ
文脈
助詞の使い方

など、問題となっている箇所が必ず隠されているはずですので
自分なりに問題部分をとらえて、自分が納得できる句に仕上げるべきです
作った自分自身が納得できない句を、他人が「良い句だね」などと評価してくれるはずがありません
仮に「良い句だ」と評価を得たとしても、自分が喜べるのかは疑問です



「良い句を作りたい」
それは、誰でも思う事ですが
だからといって「自分の句の、どれが良い句なのか?」と考えることは、少し考え方にずれがあるように感じます

「自分が作った句の、どれが良い句なのか?」ではなく
自分の作った句の「どれが納得できるか」という考え方をして、納得できる句を探した方が良いと思います