206 「雷」「稲光」の季語と季節について


「雷」を歳時記で調べると、雷の他に「はたた神」や「稲の殿(いねのとの)」などと言った季語も紹介されています
聞きなれない季語であるため、初めのうちは戸惑ってしまうのではないでしょうか
ここでは、初めて目にする季語でもすぐ使えるように、子季語の意味をまとめておきます
意味を理解して使えるようになると、俳句の幅も広がるはずですし、俳句が楽しくなるはずです

それと、通常「雷」といえば夏の季語ですが、雷は四季のそれぞれに別の顔を見せます
季節ごとの雷の微妙な違いも理解しておきたいものです


春の雷、春雷、虫出しの雷

雷、神鳴、鳴神、はたた神、遠雷、落雷、雷鳴、雷声、日雷、雷雨、雷響、迅雷、軽雷

秋の雷、秋雷、雷光、いなびかり、稲妻、いなずま、稲の殿、稲の妻、稲の夫、稲つるみ、いなつるび、稲玉

冬の雷、冬かみなり、雪越し、鰤起し、寒雷







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春の雷



春の雷(はるのらい)、春雷(しゅんらい)
3月から 5月頃に発生する雷
寒冷前線の通過時に発生する界雷で,この雷雨はよくひょう(雹)を伴う
春の到来を伝える雷である



虫出しの雷(むしだしのらい)
春雷の別称
雷鳴に驚き冬眠していた地中の虫たちが目ざめるという理由で「虫出しの雷」とも呼ばれる






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夏の雷


雷(かみなり、らい、いかづち)
積乱雲の中などで雲と雲、雲と地上の間で放電現象が起きたもの
電光が走った後に雷鳴がとどろく
光と音の時間差でその遠近を測る



神鳴(かみなり)
雷の別称



鳴神(なるかみ)
雷の別称



はたた神(はたたがみ)
はたたく神の意
激しい雷
「靂神」とも書く



遠雷(えんらい)
遠くのほうで鳴る雷




落雷(らくらい)
雷が落ちること
雷雲と地面との間に放電が起こること
地上の突起物に落ちやすい



雷鳴(らいめい)、雷声(らいせい)
かみなりの音
雷に沿って大気が急激に膨張するために音が発生する




日雷(ひがみなり)
晴天のときに雨を伴わないで鳴る雷。また、ひでりの前兆を示す雷



雷雨(らいう)
かみなりを伴う激しい雨



雷響(らいきょう)
雷のひびく音


迅雷(じんらい)
激しい雷鳴



軽雷(けいらい)
かすかな雷鳴





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秋の雷



秋の雷(あきのかみなり)、秋雷(しゅうらい)
秋に入っておこる雷



雷光(らいこう)、いなびかり、稲妻(いなづま)、いなずま
かみなりの光
遠い夜空に雷鳴はなく、稲光だけが走るもの
米作の豊凶に関連があると考えられ、稲光と呼ばれる
空中電気の放電によって生じる電光で、雲に反映する



稲の殿(いねのとの)、稲の妻(いねのつま)、稲の夫(いねのつま)、稲つるみ(いなつるみ)、いなつるび、稲玉(いなたま)
いなびかりの別称





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冬の雷


冬の雷(ふゆのらい)、冬かみなり(ふゆかみなり)
冬に入っておこる雷
「夏の雷」は長い時間にわたって雷鳴を轟かせるが、「冬の雷」は一発で終わる事が多く『一発雷』とも呼ばれる
本州の日本海側は、夏よりも冬に雷が多く発生する



雪越し(ゆきおこし)
雪の降ろうとする時に鳴る雷
大雪の前触れとされる




鰤起し(ぶりおこし)
冬の時期に日本海を回遊している寒鰤が、初冬の雷と合わせて獲れ始めることから呼ばれる
漁師が網を「起こす」というのと、寝ている鰤を「起こす」という意味をかけて「鰤起こし」といわれる




寒雷(かんらい)
冬の雷の別称






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もしよろしければ、手に取ってください